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第十話 新和隊、誕生②

2025-06-23 17:31:03

「宇随さん、どうしますか? 降参します?」

 雛は今までの戦いでは味わえなかった高揚感に満たされていた。

 雛の中に眠っている剣士の血が騒ぐ。

 こんなにワクワクしたの初めてだ。

「誰に言ってんだ? 宇随様をなめるな!」

 力を振り絞り、宇随は雛に猛攻撃をしかける。

 雛はそれを楽しそうに受け流していく。

「くそっ」

 雛の隙を突きたい宇随は、懸命に雛の弱点を探していく。しかし見つからない。

 宇随は悔しそうに呻いた。

「俺はこんなところで負けられねえ……負けてたまるかあ!」

 渾身の一撃を放つ。

 打撃は与えられなかったが、初めて雛をわずかにかすめた。

「へへっ」

 宇随が嬉しそうに笑うと、雛の口の端が上がった。

「いいですね、まだまだ楽しみましょう」

 この戦いを楽しんでいる雛を見て、げんなりした宇随がつぶやく。

「……嫌味かよ」

 そして再びお互いの刃が交じり合うと、歓声が沸き起こった。

「もう無理! 降参っ!」

 宇随が地面に大の字に寝ころび、叫んだ。

「え? もう? もっと楽しみましょうよ」

 残念そうな雛を見て、宇随はさらにげんなりした。

「おまえ、マジで化け物だな……。もう勘弁してくれ」

 宇随の体力はもう限界だった。

 これ以上やっても雛に勝てそうにないと判断した宇随は、降参することを選んだ。

 宇随がいくら必死に攻撃をしかけても、打撃を与えることができない。

 かすめることはできても、それでは相手のダメージになっていなかった。

 雛の攻撃を頑張って避けてはいたが、全ては避けきれない。ダメージが蓄積されていく。

 雛の一撃はかなりの威力がある。それが重なり、体は既に悲鳴を上げていた。

 宇随はこれほどの剣士に会ったことがなかった。

 いや、神威、あいつなら雛と互角にやりあえるかもしれない。

 だが、それも予測だ。
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